サヨナラも言わずに
私は怖くて無言のまま立ち上がり、彼女たちについて行く。
しばらく歩いて連れてこられたのは、女子トイレ。
それもただの女子トイレじゃなくて、古くて誰も近寄らない、旧校舎のトイレ。
「あんたさぁ、なんでうちらに呼ばれたかわかってる?」
またツインテールの子が、腕を組みながら不機嫌そうに言う。
なんでって言われても……
わからないよ、そんなの。
私、誰とも関わってないし……
「黙ってないでなんか言ったら!?」
使われてない校舎でも水は出るんだね。
なんて、感心してる場合じゃなくて。
私はサイドに三つ編みをした子に、思いっきりバケツの水をかけられた。
昨日泥だらけになったから、キレイにしたばっかりなのに……
今日はびしゃびしゃですか。
てか、十一月に水浴びるとか……
風邪引くじゃん。
「篠宮くんが転校したのって、あんたのせいなんでしょ!?」
……は?
いやいやいや!
そんなわけないでしょ!?
どうして、私のせいで篠宮くんが転校することになるわけ!?