サヨナラも言わずに

黒瀬は慌てて私に近寄ってくる。



でもねー……


私は後ずさり。



「あっ……そうだよな、ごめん」



また謝る……


なんで謝るの?



黒瀬は悪いこと、してないのに。



「……なにがあった?」



そんなの、あんたなんかに言うわけないでしょ。



てか、言えないし。



自分でやりました、なんて。



「とりあえず、警察に……」


「ダメ……!」



とっさに、携帯を出そうとする黒瀬の腕をつかんだ。



「沢田?」


「警察に、連絡しないで……私、が、自分でやったことだから……」



私、ホント、なにやってんだろ……


というか、なにがしたかったんだろ……



「なんでそんなことしたんだ?」


「…………」
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