サヨナラも言わずに


【旭side】



ー数時間前ー



沢田が無断欠席した。



昨日あんなことあったから……


今日ちゃんと謝ろうと思ったのに……



帰り、家にでも行ってみるか。



「く、黒瀬くん!」



昼休み、ボーッとグラウンドを眺めていると、リーダー気取りの女子に邪魔された。



「なに?」



だから若干不機嫌。



「目無しのことが好きって、ホント?」



あー、昨日のことか。



「ホントだけど?」


「なんで?」


「かわいいから」


「!?」



彼女は目を見開いた。


そこまで驚くことか?



「いつ、から……?」



もう、自分で傷口えぐるようなことすんなよ……



「小学生のころから。俺の初恋」



とか思いながら、俺は素直に答える。
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