サヨナラも言わずに
「あんた、昨日篠宮くんと話してたじゃない!」
いや、まあ……
話したっていうか、助けてもらったっていうか……
「あんたをいじめる以外に話した人間が転校するってウワサ、ホントだったのね!だから篠宮くんも転校したんでしょ!?」
………………はぃぃぃいい!?
なに、その変なウワサ!
聞いたことないし!
確かに篠宮くんとは昨日話したけど!
だからって、篠宮くんが転校した理由にはならないよね!?
「あんたなんか、いなきゃよかったのよ!」
ツインテールの子は、ポケットからカッターを取り出した。
え、小学六年生がそんなものを持ち歩いてるって、おかしくない……?
「ちょ、ユイ!?それマズイって!」
もちろん私も驚いたんだけど、それ以上にユイって子と一緒にいる女子のほうが驚いてる。
カッター持ってるなんて、普通思わないもんね。
「もっといい方法があるから!とにかくそれしまってよ!」
その『いい方法』が気になるけど……