ファインダー越しの瀬川くん

まさか全部見られていただなんて、まるで気づきもしなかった。

改めて自分の行動を言葉にされてみると、なんとも言えない恥ずかしさがこみ上げる。


「窓際の後ろから二つ目の席……それを見てわかった。写真を撮っていたのが、山内さんだって。あとから、山内さんはたった一人の写真部だってことも知った」


外から吹き込んでくる風に、瀬川の髪が揺れた。

冬の訪れを感じさせる風は、日に日にその肌寒さを増している。


「そこに座って、撮った写真を眺めている山内さんの表情があんまり幸せそうだったから……実は前からちょっと気になっていたんだ。山内さんがカメラ越しに見ていたのは、どんな世界なんだろうって」


窓枠に背を預けて振り返った瀬川が、柔らかく微笑む。


「さっき写真見せてもらってわかった。山内さんが見ている世界は、こんなにキラキラしていて、眩しいくらい輝いているんだなって」

「えっ……」


それは、自分が瀬川を見て感じていたものとよく似ていた。
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