ファインダー越しの瀬川くん


「瀬川くんって、そんなに撮られるのが好きだったんだ」


子供みたいな表情を見せる瀬川が余りに可愛らしくて、ここにカメラがないことがとても悔やまれる。


「うーん……撮られるのが好きって言うよりも」


ガタっと音がして視線を上げると、突然立ち上がった瀬川が内緒話をするようにグッと顔を寄せる。


「山内さんが撮ってくれるから好きなんだ」


耳元をくすぐるその声に、くすぐったくて身をよじる。


「あー、また瀬川が山内さんとイチャついてるー」


明らかに冷やかし混じりのその声に慌てて視線を動かすと、ドアの前に立ってニヤニヤ笑う三人のクラスメイトの姿が見えた。


「イ、イチャついてたとかそんなんじゃ……!」

「邪魔しちゃってごめんね、山内さんっ!」

「だから違うってば!!」
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