ファインダー越しの瀬川くん
「たまにね、キラってレンズが光るから、グラウンドからでもわかったよ」
窓の前まで歩いて行った瀬川は、半分程しか開いていなかった窓を大きく開け放って体を伸ばす。
「最初は、またか……って思ったんだ。前にもね、僕の写真を隠し撮りして陰で小遣い稼ぎするとんでもない奴がいたから。もしそうだったら犯人見つけて、すぐにやめさせようと思ってたんだ」
瀬川の言葉の一つ一つが胸に響いて、いたたまれなさに思わず俯く。
悪用しようと思ったことなど一度もないが、瀬川にしてみればそんなこと知ったことではない。
陰で小遣いを稼いでいたというそのとんでもない奴と、“勝手に撮っていた”という部分では同じ事をしていたのだから。
「そしたらあるとき、カメラを持って校内を歩いてる人を見つけたんだ。こっそり様子を見てたら、その人は何の前触れもなく立ち止まって突然カメラを構えてね。何度かシャッター押して、しばらくしたらまた歩き出す。そうやって校内を回ったら、最後はいつもこの教室で撮った写真を眺めているんだ」