嫌い、嫌いも好きのうち
ピンポーン
バタバタと音がして、龍二のお母さんが出てくる。
「こんにちは!」
「あら?こんにちは~!千晴ちゃんじゃないの~^^」
ニコニコしている龍二のお母さん。
近所に住んでいる幼なじみなだけあって、
龍二のお母さんとは顔なじみだ。
「なっちゃん、龍二くんいますか?」
早乙女 夏未(さおとめ なつみ)さん
何歳かは教えてくれないので、年齢不詳。
主婦。
なっちゃんって呼ばないと怒られるので、
なっちゃんと呼んだ。
「いるわよ~。あの子いっつも家でゲームばっかりして。
ダメな子だわ~。今日なんて龍二ったら誕生日なのに
どこにも出かけたくない!って。引きこもりみたいなんだから。
ゲームじゃなくて受験生なんだから勉強しなさいって、言ってやってよ~。
ほら、千晴ちゃん頭いいじゃない?!教えてやってよ~!」
なっちゃんの弾丸トークに慣れている私でも
今日ばっかりは付き合っていられない、と思う。
早く龍二に誕生日プレゼントを渡したい・・。
でも、こう見えても私は真面目で頭がいい優等生タイプで通っているので
なっちゃんを無視する訳にもいかない。