爽やかさと、優しさと
ステータス


夏休みまでカウントダウンが始まる7月。

今年は梅雨が明けるのが遅くて、まだまだ蒸し暑い。


廊下に比べれば食堂は天国だけど、人が多いせいか、クーラーの効果はいまいち。



おばちゃんにカツカレーを頼むと威勢のいい返事が返ってくる。



サラダとスープまでついた家じゃ考えられない豪華なカレーだ。

これが400円なんだから学食ってありがたい。


席を探すのにうろうろしてると、一足先に座っていたクラスメイトの栗山がいた。


「よっ」

「おっ、森山は今日カツカレー?」

「そーだよ。栗山は冷やしうどんってその量、足りんの?」


「まぁな」


ドヤ顔で返されたが、少食アピールを男がするってどうなんだ。


それでも、涼しそうなうどんを見たら俺もそっちにすればよかったと思えてくる。


栗山がやたらとおいしそうに食べるから、余計にそう見えてくる。


腹ペコだった券売機の前では、なんとなくカツカレーが食べたくなったんだ。


あ、そうだ。
麺じゃ午後、夕飯までもたないって思ったんだ。





運動部のためにか、大盛もあるが栗山はどうやら普通のよう。

さっきも言ったけど、それでコイツ本当に足りるのか?


女子か?



「何?俺のうどんそんなに欲しい?」

「・・まぁ。そっちにすればよかった」

「そんなに見たってやらねぇぞ」

「わぁかってるよ」


別に取り替えてほしいなんて思ってないけど、やっぱり羨ましく思いながら、大人しくカレーを口に運んだ。


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