爽やかさと、優しさと




テストの話より、お互いだんだん食べるのに集中していき、会話もなくなる。


会話もあまり長続きしない。


いつものことで、俺も栗山も喋りながら食べるなどという二刀流はできない。



「あーそれ俺も読んでるんだけど!」


そうなると、周りの会話が自然と入ってくる。


別に故意ではない。

故意ではない。

・・・。


ふと声が聞こえた方に目を向けると、そこにはクラスのやつらがいた。

クラスの中でも中心的な男子グループと女子グループ。
男子同士で、女子は女子同士で固まり合い、2つのグループが合体しているようだ。


その中には、あいつもいた。


上村美咲。



幼馴染というほどでもない、クラスメイト。


普通のクラスメイトと違うのは、小学校の頃に家が近所でよく遊んでいた。それに小学校1年の時に同じクラスだったから、親同士はいまだに仲良くしていて、よく呑みに行ったりお茶したりしている。

だからそんなに関わってないのにやたらと上村情報が入ってくる。



どこら辺の大学目指してる、とか。

友達と夢の遊園地に行った、とか。

漫画が大好きで、部屋が漫画だらけなんだとか。


まぁまぁ大事な話からくだらないことまで。
何も話さないクラスメイトじゃ知らないことも聞いたことあると思う。娘特有のお父さん嫌いがなくってむしろ、好きだとか。

だからなんとなく目が行きがちなだけ。




会話の中身までほ聞こえないが、笑ってるんだからきっと、楽しいんだろう。




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