こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
園香がカッとした顔で振りかえる。
けど。
園香はそれ以上、動かなかった。
多分、私の顔を見たから。
私は、掴まれた腕を目の前に持ち上げた。
「この前から何?」
その瞬間、周りの空気が固まった。
「何回あしらっても、しつこく来るけど何?園香が何度も言ってるでしょ?『迷惑』って。わからない?」
「……」
明石夏葉は、私の腕を離さなかった。
私から、目も逸らさずに。
周りがざわめいている。
「なになに?」
「転入生の櫻木さんが、夏葉くんと麗くんに怒ってるらしいよ」