こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
「伊紅。俺たちは、お前と昔……」
今度は夏が、口を開いた。
「…………なんで、こんなとこで、そんなことが言えるの?」
精一杯、話す。
なんでみんなの前で、私の過去を、話そうとしてるのーーー?
私の失った、過去の話ーーーー。
「アイドルなら、ファンに愛情を注ぐものでしょう?いつまでも過去の縁に囚われてないで、ファンに尽くして。
私はあなた達とは、関わりたくないの」
言い切って歩き出す。
「伊紅!」
「伊紅ちゃん!」
野次馬をかき分けて出ていく。
ああ、やっちゃった。
こんなに人前で言おうと思ってたわけじゃないんだけどな。