こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
「じゃあ、僕の考えてること、当ててみて」
「えー?」
うーん…。
「『伊紅は相変わらずだなぁ』とか?」
「ブブーッ。正解は、『早くしないと遅刻するなぁ』でしたー」
えっ、まずいじゃん。
「伊紅、早く行こ」
「うん」
二人で桜が降り注ぐ住宅街を走る。
どこの家も桜を意外と植えてるんだなぁ。
家は植えないで欲しかったなぁ。
なんて思いながら走っていると。
「伊紅」
「なにー?」
「頭に桜の花びら、ついてるけど」
「えっ、取って!」
「はいはい」
そうして私たちは、新しい学校へ向かった。