こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!

「………………」
「………………」


「………ふっ」
「…………ぶっ」


「「あははっ……!」」

間抜けすぎて、笑ってしまう。




ひとしきり笑ったあと。


「……はー。ごめん。」

よくよく見てみると、その人は、みんなが騒いでいる、『侑李先輩』。


「いえっ。私、けっこうスピード出して走ってたので」

と言うと。

「俺も。授業遅れると思って」

先輩は「アウトだな」なんて言いながら、
にかっ、と笑う。


「………櫻木、伊紅ちゃん…だよな?双子の、弟がいる……」

「……そうです、けど…」

人気者の先輩が、私のことを知っているのに驚きながら、言うと。


「あっ!ごめん!知らない奴に名前知られてたら、びっくりだよな!」

なぜか、あたふたと慌てる侑李先輩。


「……け、けっこう!俺らの周りだと、有名なんだよ!びび、美男美女の双子だし。」

かみかみで言いきる先輩。


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