こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
累の家の客間。
私と、その向かいの椅子に累、桃、冬弥が座る。
「私、ケンカ、やめる。」
「「「えっ……」」」
驚く三人。
「この家も、出るわ。」
「……待て、伊紅。それって……」
「うん。私、家に戻って、普通の高校生になる」
「やだ!」
冬弥が立ち上がる。
「いやだいやだいやだいやだ!」
私に抱きついて泣きながら首を振りまくる。
「冬弥………」
「伊紅がいないなんて、僕、生きていけないよ……!」
「姉さんっ!」
桃も、私に抱きつく。
「私も、姉さんがいないなんて、嫌だ…!」
「桃……」
「行くな……」
「累………」
私の前に立ち、視線を合わせてじっと見つめてくる累。