こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
そのあと。
私は家に戻って家族に今までのことを謝って、本当のことを全部話した。
その一週間後。
私達一家は初めて、
お父さんの転勤でなく、
2つ隣の町へ、『やり直し』ということで引っ越した。
それから高2になって、
お父さんの転勤で、今の家に引っ越してきたのだった。
私が家に戻ってから気づいたのは、
昔の記憶がないこと。
「あれ?伊紅。」
「なに?伊澄。」
「ーーとーの話、前はあんなにしてテレビも見てたのに、どうしたの?
やっと二人から心が離れられた?」
にやにやと聞いてくる、伊澄。
「?だれ?それ………」
「えっ……?ほら、僕たち昔、△△小学校行ってたでしょ?」
「?……私たちが通ったのは、〇〇小で、
そのあとに□□小でしょ?」
「え?小2まで、通ってたでしょう?
△△小学校……」
「…………頭っ、……………いたい。
……………………思い、出せない……」
私は、松下さんに突き飛ばされて頭を打った時、衝撃で記憶をなくしてしまったんだと思う。
でも今となっては、そんなに困らないし、あんまり気にならない。
私の周りの人が傷ついていなければ、
私はそれでいい。