こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
「名前を言えってんだよ」
「………………登「累っ!」
それを遮る伊紅。
何?俺に言いたくないの?
「累、今日はありがとう。…………またね」
「………………わかった。また。」
二人で目線を合わせて、何かをアイコンタクトで話し合ったよう。
それがまた、俺をいらつかせる。
まるで、俺の知らない伊紅をそいつが知っていて、伊紅も俺に寄せない信頼を寄せているようで。
伊紅の手をとって、引っ張っていく。
「いたっ、……」
ぐいぐいと伊紅を連れて行く。
「何っ?夏葉。夏葉ってば!いたい!
話してっ!
さっきのは、私の昔の「言うな!」
伊紅の言葉を遮って、
道の塀のところに、伊紅を押し付ける。