こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
伊紅は俺なんかより、夏葉のほうが好き?
視線を落としている伊紅。
夏のことばかりを考える伊紅なんて、いやだ。
壊れやすそうな伊紅を、誰もいないプレハブ小屋の中へ押し込む。
「れ……っ?!」
そのまま素早くドアを閉めて鍵をする。
「麗……?」
伊紅は、警戒するような顔を見せる。
「ねえ、伊紅」
俺は、話しかける。
「俺のこと、覚えてる?
俺、昔は自分の女みたいな中性的な顔が嫌で、それ言ってたら、伊紅に怒られたんだよ。」