こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
「そんな気がしてた」
前から、声がする。
「…………やっぱり伊澄だけは、
もうだませないね」
前の角から出てきたのは伊澄。
「……行ったでしょ?
双子はなんでもお見通しって。」
「…………うん。でも、もう双子はいいから」
伊澄には私じゃなくて、
もっと大事な存在を見つけてほしい。
「またそうやって一人で心の傷を増やしてくんでしょ?
………その体の怪我だけじゃなくて。」
…………やっぱり伊澄は、双子の弟だから。
「気付いてたんだ、私の怪我。」
「うん。痛すぎて、ベッドで僕と話した時でさえ、動きがぎこちなかったよね」