こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
side 櫻木伊紅
伊澄に暴力を振るうことなんて、
できない。
大事な、私の『半分』だから。
走って走って、人のいないところから、
学校の塀を越えて学校を出る。
そして、昨日の公園へ向かう。
あれ?雨?
私の顔から、水がしたたる。
(あ………。)
私は、泣いてるんだ。
それほどまでに、たった3ヶ月の生活が、
楽しかった。
そっと、ポケットからスマホを取り出す。
昔、何度も電話を掛けて、
番号まで暗記してしまったあそこへ、
電話を掛ける。
ーーーー『はい、登坂です』
「累……………。迎えに、来て………………。」
やっぱり、
暴力的な衝動だけは、
変わることなんてできなかった。