こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!



一生懸命、涙を拭きながら話す園香。



「3年生の女子たちが、伊紅に本当のことを話したの。


そうしたら………」


グッ、と唇を噛む園香。


「そしたら、………どうなったの?」

俺が聞くと。


「伊紅は、急に表情が顔から抜け落ちた。

怖い、顔してた。

そのあと、ゆっくり立ち上がったの。
本当に、自然な風に。


そしたらいきなり、目の前にいた3年の先輩の顎を蹴り上げて。」


「「は………?!」


「そのあとは、ほとんど一瞬だった。

縛られてた縄を一瞬でほどいて、

残りの3年生の女子をみんな顔から殴ってった。


そのあと、そこの不良たちを相手にしたんだけど。


戦う前に、その人たちに聞いたの。

『園香に、どんなことしたの?』って。


みんな、素直にたのしそうに答えた。

『足首に何度も蹴り入れてやったぜ』
『俺はお腹!』
『手ぇ踏みつけたり椅子の上に立たせて落としてやった』


とか言ったの。そしたら伊紅が、

『わかった』って言って、仕掛けてった。

一気にみんなやられて動けなくなったんだけど、伊紅は一人一人起こして、


『足首に何度も蹴り』

って言ってそいつの足首を何度も蹴ったり、   


一人一人がやったって言ったことを全部、
記憶していて、やり返した。」





伊紅がそんなことをするなんて、
思えない。


でも、伊紅の友達であり、俺の妹の園香が、嘘なんてつくはずもない。


< 264 / 394 >

この作品をシェア

pagetop