こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
一生懸命、涙を拭きながら話す園香。
「3年生の女子たちが、伊紅に本当のことを話したの。
そうしたら………」
グッ、と唇を噛む園香。
「そしたら、………どうなったの?」
俺が聞くと。
「伊紅は、急に表情が顔から抜け落ちた。
怖い、顔してた。
そのあと、ゆっくり立ち上がったの。
本当に、自然な風に。
そしたらいきなり、目の前にいた3年の先輩の顎を蹴り上げて。」
「「は………?!」
「そのあとは、ほとんど一瞬だった。
縛られてた縄を一瞬でほどいて、
残りの3年生の女子をみんな顔から殴ってった。
そのあと、そこの不良たちを相手にしたんだけど。
戦う前に、その人たちに聞いたの。
『園香に、どんなことしたの?』って。
みんな、素直にたのしそうに答えた。
『足首に何度も蹴り入れてやったぜ』
『俺はお腹!』
『手ぇ踏みつけたり椅子の上に立たせて落としてやった』
とか言ったの。そしたら伊紅が、
『わかった』って言って、仕掛けてった。
一気にみんなやられて動けなくなったんだけど、伊紅は一人一人起こして、
『足首に何度も蹴り』
って言ってそいつの足首を何度も蹴ったり、
一人一人がやったって言ったことを全部、
記憶していて、やり返した。」
伊紅がそんなことをするなんて、
思えない。
でも、伊紅の友達であり、俺の妹の園香が、嘘なんてつくはずもない。