こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!

「…………麗」

園香が弱々しく、呟く。


「麗も、伊紅のこと、探しに行って、いいよ」

「俺は、ここにいるよ」

目を見開く園香。


「だって君は、俺のたった一人の妹だし。」

「………半分だけじゃん…っ」

また、ぼろぼろ涙を流す園香。


「でも俺は、園香にも、園香のお母さんにも、俺の父さんよりも家族だって気持ちを持ってる」

「………バカ言うなよっ……!」



言葉とは反対に、ボロボロと涙を流しながら言う園香。



「ほんとだよ。俺の母さんだって、あんな親父には、とっくに愛想つかしてる。

こんど、4人で会おう、園香。」




「麗……………っ」



本当はもっと早く、
園香に言おうと思ってた。

でも園香は頑なで。


俺は園香に、たった一人の妹に、
ちゃんとした、家族の暖かさを知ってほしい。


だから園香。


俺と俺の母さんと、園香と園香のお母さんで、その幸せを、探ろう。




本当はずっと前から、
ちゃんと、家族になりたかったんだ。
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