こんな嘘みたいな恋愛あるわけない！

ブォォォーーーーーー



「伊紅」

「ん？」


「また、暴れたのか？」

「……うん。累の言ったとおりだった。
暴力的な部分は、どうにもならない。」


累は前を見たまま、私の話に耳を傾けてくれる。


「私さ、暴れてる時、思ったの。

『ああ、気持ちいい』、『楽しい』
『もっと』

………………って。」



「…………伊紅は抱え込み過ぎなんだ。」

ぽつりと、累が口を開く。


「我慢なんかしないで、好きなだけやり返せばいい。

やりたいように、やろう」


誰も傷つけない私のやり方は
たぶん、間違っていなかった。



でも、自分と周りを守るためのやり方は、
こっちのほうがいいんじゃないか。


たとえ、誰かを傷つけることになっても。


大切な人を、自分とともに守れるならば。