こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
「伊紅っ!」
「姉さんっ!」
累の、前に私の住んでいた家へ帰ってきた。
バイクが家の敷地に入った途端、
飛び出してきた、冬弥と桃。
「ずっと待ってたんだからぁぁ!」
泣きながら私に抱きつく桃。
「もう、離さないんだからね!」
泣くまいと大きなうす青い瞳に涙を溜め込んでいる冬弥。
「ごめん、二人とも。」
「もう部屋用意出来てるんだからっ!」
「ていうかあの時のまんまだしっ!」
二人してわんわん言ってくる。
「桃、冬弥。そのへんにしとけ」
後ろで苦笑しながら二人を離す累。
ああ、帰ってきた。
ほっとするような気持ち。
でも、少しさみしい気持ちもあった。
前来た時は、
こんな気持ちなんてなかったのに。