こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
「こいつ、姉さんの前じゃ子犬みたいになるくせに、学校だと……」
「言うなよっ!桃!」
今にも喧嘩を始めそうな2人。
「冬弥。こっちおいで」
「伊紅っ!」
すぐさま飛び込んでくる冬弥。
ごろごろと音が聞こえそうなくらい擦り寄って来る冬弥。
それを見ながら桃は、
「姉さんにくっつくなよ、『黒王子』様」
「あっ!バカ、桃!」
我に返ったように桃に怒る冬弥。
「桃、それって何?」
ニヤニヤしながら聞くと。
「伊紅〜、聞かなくていいよー……」
私に逆らえない冬弥は控えめに抗議。
「こいつ、学校で『黒王子』とか呼ばれちゃってー。
女の子の召使いみたいなのがいっぱいいるんですよー。
しかも呼び方が、『奴隷1』とか『奴隷2』とか………」