こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
「ねえ、あの辺どお?この間、なんとか暴走族って言ってたけど」
「いいんじゃなーい?さんせーい」
夜の繁華街。
私たちは、『前のように』ここにやってきた。
私達の見た目はふつう。
別に暴走族とかではなく、ケンカをしたいだけだから髪を染めたりなんて面倒くさいことは、わざわざやらない。
「伊紅」
累が私を振り返る。
「行くよ」
これが私達の、スイッチが入る合図。
ああ、うずうずする。
「ねえ」
桃がガラの悪そうな連中の先頭の人に話しかける。
「俺らのこと、知ってるの?」
ニヤニヤと、怪しく笑う目つきの悪い男。
「知ってるよ。暴走族の人でしょ?」
冬弥が、言う。
「そうだよ。俺達に何の用だ?」