こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
「………わかってたはずだ。アイドルが一人の女の子だけ特別扱いをすれば、ファンから恨みを買うこと。」
「……………」
「なんでそんなに伊紅に執着したの?!
忘れてよ!伊紅のこと!」
伊澄が泣きそうにしながら、行き場のない怒りをぶつけてくる。
でも。
「それは、死んでもできねぇ」
「なんで?伊紅が大事なら、守るために身を引くくらいしろよ!」
「……………伊紅は。伊紅だけは、俺のだ。」
これだけは。
アイドルという9年間、必死に築き上げてきた地位を捨てても。
麗という親友を失っても。
伊紅だけは、俺のもの。