こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
守れると、思ってたんだ。
「……………悪かった」
下を向いて、拳を握りしめる俺を見て。
「………もういいよ。いまさら言っても、伊紅は帰ってくるわけじゃない。
それに………気付かなかった僕も悪い。
………………ごめん。言い過ぎた。」
ほんとにこの姉弟は人に甘いな。
もっと罵ってよかったのに。
でも、今は気になることがひとつ。
「…………帰ってこないって、どういうことだ…?」
伊澄は冷静になったのか、
溜息をついて言う。
「前にもいなくなったことがあった。
………半年間。」
「半年間?!どこ行ってたんだよ!」
伊澄は、目を伏せる。
「…………僕はその場所を、知らない」