こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
伊澄は、すべてを話してくれた。
伊紅が人気のある先輩と仲良くなったこと。
いじめにあったこと。
右耳の聴力を失ったこと。
先輩とクラスメートを庇ったこと。
夜な夜なケンカをしていたこと。
仲間を作って半年間いなくなったこと。
事件の日に頭を打って記憶を失ったこと。
それまでは俺達の出る番組を全部チェックしたり、俺達の話を毎日していたこと。
「…………伊紅って、そんなに強かったの?」
手当も受けて落ち着いた如月が、
伊澄に聞く。
「もともと空手をやってて強かったし運動神経も人よりあったから
それまで余計に、仕返ししちゃいけないと思ってたみたいだ」