こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!

side 櫻木伊紅



あれから1週間。

私は、毎晩ケンカをしに出掛けていた。



そのうち、

「櫻木伊紅が帰ってきたらしい」


と出回ったのか、ケンカを売りに来る奴らも増えた。



「伊紅、すっかり人気者だね〜。
伊紅が帰ってきたのが夏休みでよかった!
ずっといっしょにいられるもん。

2学期は、行くのやめちゃおうかな」


家にいる間はいつもこう。

冬弥か桃がいつもくっついてくる。



「それはさすがに、冬弥のこと、嫌いになるかな」

「えっ?!やだ、嘘!嘘だよ!冗談だから!」


なんて、穏やかな1日を過ごす。


「………ねぇ、伊紅。」

「なに?」


「また居なくなったり、しないでね」

「…………うん。」


不安になるのか、思い出すように、
桃と冬弥は、それを言ってくる。


夜はあんなに強いのになぁ。
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