こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!

side 櫻木伊紅



「「ただいまー」」


「おかえりー」


夕飯の材料を買いに行っていた桃と冬弥が帰ってくる。


そして。

「姉さんっ!」

帰ってくるなり抱きついてくる桃。


「どうしたの?!」

「さっき、芸能人の青葉麗が、姉さんのこと聞いてきたんだけど!知り合い?!」


ぎゅううう………と私の首に腕を回す桃。


(…………………麗が?)


「それで、どうしたの?」

「冬弥が知りませんって言って帰ってきた」

「…………ありがとう。それでいいよ」

桃の頭を撫でる。


「私の幼なじみだったみたい。…………事件のときに、記憶は失ったけど」

「………いいの?姉さん……」

「うん。もう関わるつもりはないから。」


珍しく、冬弥が騒がないな、と思ったら、
部屋に行ってしまったみたいだった。
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