こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
「……ってことなんだ」
麗から、今日、『貝塚桃』と『澤田冬弥』
に会ったということを聞いた。
「女は『桃』って呼ばれてたんだろ?
……………ほぼ黒じゃん」
「……ああ」
麗は、悩んでいるような顔をしている。
「………今度の仕事がない夜、夜の街へ行くぞ」
「え?!」
俺は、伊紅を連れ戻す。
「でも、他の伊紅の仲間とか……」
「おまえが行かなくても、行く」
と言うと。
「………ばか」
ぼそりと、呟く麗。
「ばか?」
意味がわからない。
「俺も行くに決まってるでしょ!」
麗は満面の笑みで、そう言った。