こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
Love 12
次の日。
「私、出掛けてくるから」
と言うと。
「「ええっ?!」」
桃も冬弥も、驚いた顔をする。
「だめだよ!姉さん、昨日のやつにあったら……。」
桃が駆け寄ってくる。
「大丈夫だよ。なかなか街中で会えるもんじゃないでしょ?
今は別にケンカして暴れるわけでもないし。」
なんだかんだと二人を言いくるめて、
外へ出る。
今日は、
電車に乗って隣町でも行ってみよう。
駅へ行って、電車に乗る。
この辺の駅へ来たのも久しぶり。
窓に現れる景色が、どんどん変わる。
『○○駅、○○駅。お降りになる際はーー』
アナウンスの声に、我に返って電車から降りる。
あそこで、顔を上げるべきじゃなかった。
目があった男の人は、言ったんだーー。
「………伊紅ちゃん?」