こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
うっかり目を見開いてしまった私に気付いて。
「…………右耳、もう聞こえないんでしょう?
聞いたよ。
君の友達だった、真希ちゃんと佳菜子ちゃんに。」
「…………そうですか。」
「ねえ、お願い。俺と、話をさせて。」
「…っ先輩が気に病むことじゃないです」
腕を振り払おうとする。
けど。
「俺のせいだっただろ!」
「…!」
今まで先輩は、
こんな風に怒鳴ったことなんてなかった。
「お願い、伊紅ちゃん。
俺と、話そう」
先輩の必死な顔に、
私はなぜか、負けてしまった。