こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
「………っなん…でこんなものっ……!」
「………俺たちは本田組っつってなぁ?
ここらじゃ名のあるヤクザ一家なのよ?」
やっぱり、ヤクザ………
「なんでこんな……、子供のケンカに、顔出してくるの」
途切れそうな意識をつなぎながら、
必死に聞く。
「……………それは内緒だ、櫻木伊紅」
にやりと笑う男。
「伊紅ーっ!」
「姉さんっ!」
後ろを振り返ると、ナイフでも出されたのか、腕を押さえて、ヤクザたちに、囲まれている桃と冬弥。
累も、もう勝ち目はないと思ったのか、
暴れるのをやめて、大人しく囲まれていた。