こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
「……なんだと」
「伊紅がいじめにあった時も。
聴力を失った時も。 荒れた時期も。
おまえらの学校でいじめにあった時も。
さっきだって、全部間に合わなかったじゃねーか。」
吐き捨てるように言う。
「………てめぇ」
じわじわと湧き出る怒り。
「冬弥。やめろ」
そこで初めて口を挟んだ、累の声。
「………………行くぞ。」
累が踵を返して歩き出す。
「「………うん」」
二人も立ち上がって歩き出す。
「…おい待て!」
「喧嘩できないなら、踏み込んでくるな。
アイドルは舞台でニコニコしてろよ」
累がそう言って去っていく。
「…………こんのっ………!」
「やめろ、夏葉!」
麗に止められる。