こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!



「ねえ伊紅ちゃん。

俺だけの伊紅ちゃんになってよ」


私にゆっくりと、近づく先輩。


「…………先輩は、変わりましたね」

「うん。君が俺のこと、突き放したりしたからだよ。

君は自分の魅力に気付いてなさすぎ」


「魅力……?」


先輩は昔の頃のように笑う。



「そう。君は美人だよ。

でも、それだけじゃない。」


先輩は、真っ直ぐに私を見る。


「誰かのためなら、自分の犠牲なんていとわない。

人のために命を投げ出せる心。

俺は、俺のためにずっと我慢しててくれたことを知って、伊紅ちゃんのこと、

もっと好きになったんだから」

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