こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
side 櫻木伊紅
目が覚めると、私はさっきの広い部屋にいた。
何でか、頬が冷たくて、手をやると。
「………なみだ?」
なんで私は、あの夢を懐かしいと思うんだろう。
あの子たちは、誰だっけ?
どれくらい経った?
長い間眠っていたような気もするし、
一瞬のような気もした。
時計も窓もないこの部屋では、
時間が把握できない。
部屋を出ようにも、足が痛すぎて、
何か支えるものでもないと、ままならない。
すると。