こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
「伊紅ちゃん!!」
バン!と勢いよくドアが開いた。
「……先輩?」
必死な顔で部屋にずんずん入ってくる先輩。
なんでか、怖いと思った。
「場所、変えるから」
「………は?」
先輩は私のいるベッドのところまで来て、
私を立たせようとする。
「い、痛っ……」
「あ、そうだったね。歩けないようにしたんだったもんね。」
一人で納得したようにうなずいて、
私の体をすっと持ち上げる先輩。
「どっ…どこ行くんですか……?」
一体、何があった?
下の階は、さっきよりも騒がしい気がする。
「俺と一緒に、外国行こう。
来年から研修だからさ。」
そう言いながらも部屋を出て、広い屋敷を歩く先輩。