こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
「……俺らの大事な、幼なじみだから。」
麗が、言う。
「……夏葉、麗」
「はっ!忘れられてるのに?
大事な幼なじみだったら、絶対に忘れたりしない!」
先輩は痛い所をつく。
夏葉も麗も、一瞬、悔しそうな顔になる。
「行こ、伊紅ちゃん」
ぐいっ、と引っ張られる。
でも。
「行きたくない」
はっきり、そう言って、手を振り払う。
「………なあに?伊紅ちゃん?」
黒い笑顔で、振り返る先輩。
その隙に。
「伊紅っ!」
ぐいっ、と。後ろに勢い良く引かれる。
「……夏葉」
ぽすん……と、夏葉が優しく受け止めてくれる。