こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!


「……俺らの大事な、幼なじみだから。」

麗が、言う。


「……夏葉、麗」

「はっ!忘れられてるのに?

大事な幼なじみだったら、絶対に忘れたりしない!」


先輩は痛い所をつく。

夏葉も麗も、一瞬、悔しそうな顔になる。




「行こ、伊紅ちゃん」

ぐいっ、と引っ張られる。



でも。

「行きたくない」

はっきり、そう言って、手を振り払う。



「………なあに?伊紅ちゃん?」

黒い笑顔で、振り返る先輩。


その隙に。

「伊紅っ!」


ぐいっ、と。後ろに勢い良く引かれる。


「……夏葉」

ぽすん……と、夏葉が優しく受け止めてくれる。


< 355 / 394 >

この作品をシェア

pagetop