こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
「伊紅ちゃん。そんなこというなんて……!」
先輩がナイフを振り上げる。
「伊紅っ!だめ…」
でも。
「やるなら、やれよ」
そのナイフを、掴む。
「……………ひっ」
もちろん、私の手からは血が流れる。
でも、痛くない。
私が二人に負わせた心の傷に比べれば、
全然痛くない。
「自分勝手に人の命を弄ばないで!」
ナイフを掴んだまま、その腕を掴んで懐に入る。
「………うわっ……!」
そのまま、背負って投げ飛ばす。
まともに受け身を取る暇もなかった先輩。
どっかを打ってしまったのか気絶してしまった。
「ごめんね、先輩」