こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
ドアを開けて、真っ白な部屋へ。
「伊紅」
いつも無表情な顔をちょっと綻ばせて。
夏は歓迎してくれた。
「夏、調子はどう?」
「………まあまあ」
何となく、二人で無言でいると。
「…………僕もいるんだけど」
不機嫌そうに、伊澄が入ってくる。
「……帰れば?」
なんて、平気で言い放つ夏。
伊澄はじとーっ、とした目で夏を見ながら
「だからお前のこと嫌いだったんだよ。
昔っから伊紅を連れてっちゃって。」
伊澄にしては珍しく冷たい言葉。
でも、別にケンカしてるわけじゃない。
気を許せてるんだと思う。