こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
「でもあれには、本当に驚いた。」
そう言うと、夏も思い出したように笑う。
「ああ、アレな」
あのとき。
夏と麗ちゃんは二人だけで飛び込んできたわけじゃない。
ケンカ慣れしてない人間が二人だけでヤクザの基地に飛び込むなんて、生きて帰れるわけがない。
「ただいま。………夏、麗ちゃん」
私が言ったあと。
「…………待ってた」
そう言って、笑みを浮かべながら
下りていく瞼。
「……夏?」
「おい、夏」
私と麗ちゃんで呼びつづけるけれど、
気を失ってしまった夏。
「…………どうしよう、麗ちゃん」
私と麗ちゃんで止血をして、私のいた部屋に夏を寝かせた。