こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
「ああ、あっちへ纏めて放り込んどけ。
サツ呼んどいたからあとは放って帰っていいから」
目が飛び出そうなくらい驚いた。
だって、これを言ったのは、
美郷だったから。
「え…………え?!…………………『お嬢』?」
「ふふ、黙っててごめんなさい。
私実は、この関東を総括する、『神崎組』
という極道一家の、一人娘なの。」
「???!!!」
もう言葉も出てこない。
「えっ?!神宮寺は、偽名……?!」
「いえ、神崎だと有名すぎてバレちゃうかもしれないので、母の姓なんです。」
ポン、と私の肩に手を置く麗ちゃん。
「神宮寺が、伊紅を探しだしてくれたんだ。
今日のこの乗り込みも、神宮寺が組の人たちを出してくれなかったら、絶対無理だったんだ」
「…………伊紅ちゃん。心配したわ」
うるうると大きな瞳を震わせて言う美郷。