こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
side 明石夏葉
なんだったんだ、今の……。
速すぎて、一瞬ビビった。
姉弟の息、ピッタリだったな。
伊澄もすげー久しぶりに見たけど。
未だに俺らを嫌ってるんだろうか。
もしかして、伊紅が俺たちを避けるのは、それが理由だったり……?
「夏」
「なんだよ」
麗が呆然としながら言う。
「伊紅は、前からあんな鋭い目つきしてたっけ?」
「はあ?」
「なんか、リュックを机においた時の伊紅の目、すっごく鋭かったんだけど」
「……」
俺も一瞬だけど、気圧された。
「ねえ、ふたりとも」
近くにいた、神宮寺が口を開く。
「なに?」
麗が答える。