こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!
「忘れてるのは伊紅のせいじゃない!」
声を荒げる伊澄。
「事故のショックで昔のことを、わすれたんだ!」
「はあ?」
「…思い出を忘れるほどの、何かがあったっていうの?」
「……そう。だから」
「はっ、知るか」
伊澄の言葉を遮る夏。
「そんなん、俺が守るだけだ。伊紅に、俺たちとのこと、絶対に思い出させる。」
「……まず、伊紅が君たちに近寄らないと思うんだけど。」
「俺が話しかける。しつけーくらいな。」
迷いはない、といった風に言い切る夏。
「……それで伊紅に何かあったら、僕はお前らを許さない。伊紅には関わらないで。」
そういって、屋上を出て行った伊澄。