君に出逢い、忘れたこと。
「こっちの理科室と、パソコン室も練習場所になるから、」
ワンフロアにある、合唱部の活動場所を顧問に頼まれて祐奈に教える。
ただでさえ皆に遅れをとっている私は、
早く練習に戻りたい。
溜め息が漏れる。
「あっ…、」
パソコン室を覗き込む祐奈の黒髪が揺れ、
細い腕が伸びて髪を耳にかける。
私も、決して太っている訳じゃない。
それでも、劣等感に苛まれる。
私は、自分が嫌いだ。
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