冷たいキスと獣の唸り~時間を巻き戻せたら~






「その顔は、知ってるってことだね。噂は本当さ。ただ、人間を〈家畜〉としか思っていない吸血鬼集団……彼らは日本にはいないはずなんだ。彼らがメインにしているのは犯罪率と貧困率が高くて、人口の多い国って話だからね」

「……メイカーが誰か知ってるのか?」

「いや、僕は彼らとは一線を退いているから、詳しくは知らない。けど、こちら側の問題でもあるから、調べてみるつもりだよ。日本で吸血鬼を治める身として、見過ごす訳にはいかないからね」

 真面目な顔で話すレンは、まさに吸血鬼らしい妖艶さと冷酷さを浮かべていた。

「なら、そっちに関しては、あんたに任せるよ。もう一つ聞きたいだがーー」

「その吸血鬼の食事についてだね?」

「ああ、そうだ。それと、どのくらい経てば正気に戻る?」

「経験から言わせてもらえば二、三日生き血を飲ませなければ、落ち着くと思う。それから、少しづつパック詰めに慣れさせていくんだ。血液パックは僕が届けるから……今日の日没なんてどうかな?」

「かまわない」

 最後に狼呀とレンが話すのを横目に、瑞季の心には安心感が広がった。









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