冷たいキスと獣の唸り~時間を巻き戻せたら~




 生き血断ち 三日目。



 朝、会いに行ってみると、混乱している叫び声は聞こえてこなかった。

 部屋の中では、苦しそうに彼女が横たわっている。

 体を動かす元気もない。

 オレが近づいても、苦し気な呼吸を繰り返すばかりだ。

 自己判断は危険かもしれないが、血液パックの血を飲ませる事にした。

 個数は一つ。

 とりあえず、これで様子を見てみよう。




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 生き血断ち 四日目。



 血液パックでの食事 二日目。

 生き血とパック詰めでは、そんなにも違うのだろうか?

 今日は、二つ飲ませてみたがあまり体力と気力は感じられない。

 威嚇も、唸りもせず、オレに抱えられて血液パックを飲んでいる姿に、心の奥に不可解なものを感じた。

 もしかしたら、彼女は戻れるかもしれない。




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