冷たいキスと獣の唸り~時間を巻き戻せたら~
 




 生き血断ち 五日目。



 血液パックでの食事 三日目。



 パックを二つから三つに増量。

 顔色は良くなり、呼吸も安定している。

 あまりにも酷い環境だったので、オレの部屋に移してベッドに寝かせた。

 もちろん、目隠しも手首の戒めも取った。

 そんなものがなくたって、女吸血鬼の一人くらい扱える。

 寝返りを打つ姿も、枕に頬を擦り寄せる姿も、人間と変わらない。

 きっと、明日にも目を覚ますだろう。





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 生き血断ち 六日目。



 血液パックでの食事 四日目。



 なんだか不愉快な気分だ。

 彼女に血を飲ませる行為を、楽しいと感じている自分がいるのだ。俺があれだけ嫌悪している行為だというのに。

 まったく、イカれてる。





 ああ、彼女が目を覚ました。




【瑞季の観察及び報告書より】



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